本プロジェクトの目的と概要について



・目的

2004年の新潟県中越地震は中越地域に深刻な災害をもたらしましたが、
1847年の善光寺地震や1914年の秋田仙北地震などの古文書や報告を見ると、

 1.余震が著しく多いこと
 2.斜面崩壊などの地盤災害を多く伴った地震であったこと
 3.傷ついた地形の浸食が著しい速度で進行し、その影響が長期に及びがちであること

など活褶曲地帯に共通した特徴をもった地震であったことが浮かび上がってきます。
本プロジェクトでは、その詳細な被害実態と現象を科学的な分析を加えてデータベース化し、
活褶曲地帯の地震被害に共通する教訓を反映した提案を盛り込んだ公開・共有の財産とすることを目的としています。


・概要

活褶曲地帯では厚く堆積した浅海性の軟岩が大きく撓み、震源機構が複雑になっているものと思われ、
余震が多いばかりでなく余震域がばらつき、実際の被害が本震によって引き起こされたものか、
相次ぐ余震によるものかの対応付けも困難です。また、傷ついた地盤の浸食が速く、地形変形が
長期にわたり進行し、このため対応も長期化することも大きな特徴です。このため空間的な震度分布や
被災分布を明らかにするばかりでなく、時間軸上で諸現象を追跡し、定量化する必要があります。
これらの課題に対して、当プロジェクトでは以下の研究を実施いたします。

1.データアーカイブス設計に係わる総合調査・研究
  地震記録、地盤データの集約と整備、地震前から地震後に亘る詳細地形変化の追跡を行い、
  併せて対策の詳細な記録も集約します。

2.活褶曲地帯の地震動に関する研究
  地震データの整理、重力探査および微動観測による地盤構造調査を踏まえ震源過程をモデル化し、
  地震動の詳細分布の推定を行います。

3.活褶曲地帯の地質・地盤災害に関する研究
  地震動と併せて社会基盤施設への入力と捉えられるものであり、
  @災害地質・地盤情報の抽出
  A地盤災害解析
  を実施します。

4.活褶曲地域における社会基盤システムの地震防災性向上
  上記2、3の成果で示される活褶曲地帯の地震動と地盤変位の典型的な特徴に対して、
  @複雑な地形・地質域における多径間橋梁・高架橋システムの地震応答と高耐震性能補強法
  A経年変化ならびに周辺設備の影響を受けるコンクリート構造の耐震性
  B活褶曲地帯のトンネルシステムの防災性向上
  Cライフラインシステムに関する研究
  を実施します。

5.類似の被害事例の発掘/潜在する課題への対応
  地すべり多発地帯である被災地の浸食などによる地形変動が長期に亘ること、かつ活褶曲地帯の多くが
  豪雪地帯であることを考慮して、類似の地震被害事例を調査し防災上必要な知見を取りまとめます。



TOPICS

  • 平成19年3月13日(火)9:20〜17:30
    土木学会(四谷)で、

    『活褶曲地帯における防災シンポジウム ‐2004年新潟県中越地震被害の科学的調査・今後の課題・対策への提言‐』を開催いたします
    (参加は無料です) 

    土木学会では、平成17年度文部科学省科学技術振興調整費による委託を受け、「活褶曲地帯における地震被害データアーカイブスの構築と社会基盤施設の防災対策への活用法の提案(研究代表者:小長井一男)」の研究を実施中です。当該研究では、2004年新潟県中越地震による被害を、フォッサマグナ北縁部から東北日本を中心に存在する活褶曲地帯で起こりえる深刻な地震被害の一つの典型を示したものと捉え、その詳細な実態を科学的な分析を加えてデータベース化し、活褶曲地帯の地震被害に共通する教訓を反映した提案を盛り込んだ公開・共有の財産とする事を目的に研究を行っております。本年度は3年計画の2年目にあたり、これまでに多くの研究成果が得られています。この研究成果を公表し、会場にご参加いただいた方との議論を行う場としてシンポジウムを開催いたします。シンポジウムは、各研究グループの代表者による講演と、成果の展示によるポスタープレゼンテーションの2部門で構成されております。地震防災を含む幅広い技術者、研究者のご参加をお待ち申し上げます。

= 研究成果の一般公開 =

この研究では、地震被害アーカイブスの構築を進めていますが、その一環として研究成果やデータの公開を行っております。今後も公開が可能となったデータについて、順次このサイトで公開を進めていく予定です。
    2004年新潟県中越地震 斜面災害記録データベース・写真集 (課題3(1) 中央大学)
                       


    2004年新潟県中越地震における最大地動分布
     2004年新潟県中越地震における強震域について、地震動観測値の空間補間により、強震域における250mメッシュの最大地動分布を推定しました。
                       


    地形データ
    [旧山古志村および小千谷市東山地区の約80km2]

     新潟県中越地震の前後では、地盤が動き、地形なども変化しています。こちらでは、地震前の地形図や、地震前と後それぞれの航空写真(オルソ画像)、差分図などを公開しております。
                       


    平成17年度の成果報告書
     本研究は、平成20年3月まで続くものですが、年度毎に成果を、報告書にまとめています。こちらでは、初年度(平成17年度)の内容が閲覧できるようになっております。